ムックリの響き、風にこだまして。
茶杓をひとまわりか、ふたまわりほど大きくしたような、へら状の竹に、
たこ糸くらいのしっかりとした糸が結びつけてあるだけ。
ムックリ(口琴)は、ごくシンプルなつくりのアイヌの楽器です。
軽く開いた口元にもっていき、糸を引いて、ブーン。
思いがけない響きが生まれます。
アヨアヨ、オヨオヨ、メロメロ……口の広げ具合や、
息の強さによって音色が自在に変化します。
そして重なり合う音と音の生みだす、ハーモニーの不思議さ。
独奏とは思えなくて、思わず辺りを見回しました。
それは、会場の民家集落博物館の木々や風と響きあう、こだまのよう。
アイヌの人々は、山へ行くときもムックリを着物に忍ばせて
一人奏でてみたりするのかもしれないと、ふと想像しました。
木々のそよぎや湖のきらめき、雲の流れと呼応して、響きがふくらんで、
大地との一体感につつまれるような、ひととき。
つくりは簡素だけれど、生み出される音は無限の広がりを感じさせます。
自然の音に耳を澄ませ、自然の音との響きあいに愉しみを見い出し、
だいじに受け継いできた、北の地の人の感性の豊かさの一端に触れる思いがしました。
このムックリを、今度の帰省に持っていき、山で鳴らしてみようと思います。
ムックリの音に、ふるさと津山の山のなにが応えて、
どんな響きが生まれるか楽しみです。
めぐりあいメモ:2007年10月21日 「アイヌ民族の伝統芸能公演」
日本民家集落博物館にて
*続けて披露されたヤイサマネナ(即興歌)の哀愁にも打たれました。
離れている恋人を思って歌う、つぶやきのような歌。
これに、つぶやきのような「ハア」 という合いの手が入ります。
なんとも切ない相槌のようで、こんな風に寄り添ってくれたら、
寂しさも随分と癒されるだろうなあ。
。
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